洋画の有名所のなかでも、個人的にはスタンドバイミーはかなり好きな作品です。
悪ガキたちの冒険にスポットを当てたこの作品は海外でも多くの人に人気だったようですが、こと日本でも多くの人が感銘を受けたのではないだろうかと思っています。
この作品の良いところは、思い出せるところにあると思っています。
自分たちが過去にした、悪いこと。そしてその悪いことで仲間内で盛り上がったあの感覚。頭の固い大人を「馬鹿な生き物だ」と卑下した怖いもの知らずの当時。
そんな昔のことを思い出させてくれるのが、このスタンドバイミーという作品です。
決して上品な作品ではありませんし、これを見たところで高尚な気分になれるわけではありません。それでも、なぜか心がキレイにさせられてしまうのです。
唯一無二の作品で、放映から30年余りたつ今でも、全くもって色あせません。
スタンドバイミーは歴史的な名作なのか?
1986年に放映された、この映画は果たして名作なのかと言えば、当然の如く名作であると言えるのではないかと思っています。
興行収入では5200万ドルの売り上げを記録しており、日本円に換算すれば50億円ほどの売り上げになります。1986年に放映された映画の中では、第13位にランクインしています。ちなみにこの年の一位はトップガンです。
この作品が人気になった理由は
なつかしさ
になるのかなと思ったりします。作られたような懐かしさではなく等身大の懐かしさを思い起こさせてくれます。
汗でぐしょぐしょになっても、歩き続けたり、ちょっと怖いおっさんの家にいる犬をおちょくったり、泥水の中に平気で足を突っ込んだり。
そういった「子供だからできたこと」をこの作品では思い出させてくれます。
これは海外で作られた作品なのですが、
結局のところ、ガキの頃にやる悪事やバカは万国共通なのだ、
と思わされたりもします。
この作品で有名なものと言えば、曲だと思います。
ストーリーもさることながら、こちらの洋楽もかなりの人気を博しています。有名な曲ですが、今聞いても色あせない名曲であることが分かります。
これが映画を見終わった後に流れるのですが、なんと言うか「見終わった」という感じが、すごくして余韻に浸れるのです。
スタンドバイミーは普通の日常にある、ふつうではないことにフォーカスした作品です。
スタンドバイミーの良いところは、共感できるところにありますが、ただ共感できるところを映画の題材にしたって、売れるわけがありません。
この作品の乙なところは、
普通の日常の中にある、ふつうではない出来事。
ここにフォーカスしてあるのです。その中で、起こるちょっとした出来事に視聴者は釘付けになります。
作中の一番のスポットは冒険をする子供たちです。
- クリス
- テディ
- ゴーディ
- バーン
それぞれ、色々な葛藤を持っています。
子どもには子供なりの難しさがある。
自分たちも昔は子供だったのに、大人になると、
「子供は大人に比べて楽に生きられる」
と思いがちになります。
でも、違うのです。
子どもだからこそ、生きづらいのです。
彼らはただ、大人に守られながら生きている存在ではありません。一人の人間として自分なりに生きようとしているのです。そういった強さがあるわけです。
子どもであるがゆえに力が弱いし、物事を深く考えることも出来ないでしょう。それに自由だって限られたものです。
あらゆることの決定権はいつだって大人かグループのトップにいるガキ大将。
そういったガチガチに守られた規則や組織の中にある暗黙の了解。つまるところは「狭い場所」で何とかして自分の居場所を見つけないといけない。
作中に出てくるクリス達4人もなんとか、自分で考えて結論を導き出します。それでもモノを知らず、考えられる範囲が少ないので、出てくる結論は全て稚拙なものばかり。でも、目の前でおきた問題や壁に対し、自分たちで必死に考えて、乗り越えようとするのです。
そこに見ている人間は惹きつけられるのだと思います。
ああ、そういえば、俺たちもこんなクソガキだったな、
と。
この作品で起こったことは、なんてことのないこと。
この作品は
子どもたちが死体を見に行く
という一文で終わらせることが出来るのです。
しかし、そこに至るまでのいきさつや本人たちの冒険が見るものを唸らせます。作中に出てくるのが、悪ガキということが作中序盤でわかります。ガッツリタバコも吸っています。
でもそういった悪ガキでも、スポットを当ててしっかり見てみると、本人なりに色々考えていることが分かります。自分たちなりの価値あるものに対して、近づいていこうとします。
そういった気持ちって一度大人になってしまうと、中々生まれてくるものではないです。
だからこそ、貴重な作品であると言えるわけで。
スタンドバイミーと言えばBUMPOFCHICKENで知りました。
僕がこの作品を見ようと思ったいきさつは、ロックバンドであるBUMPOFCHICKENが、きっかけでした。同バンドが発表した「アカシア」という曲のMVでは冒頭で、線路に沿ってあるく4人の男の子たちが映し出されます。
これのモデルがスタンドバイミーなのです。
スタンドバイミーという作品は実際のポケモンのゲーム内でも紹介されています。ゲームを始めた時に自宅のテレビに話しかけてみると、スタンドバイミーについての言及があります。
また、ロックバンドであるBUMPOFCHICKENもメンバーの一人がスタンドバイミーのサントラを購入してたと聴きました。
そういった、凄い人たちが語る
スタンドバイミーというのはどういった作品なのだろう?
という気持ちがあり、VODサービスを使って視聴をしたのですが、思っているよりもかなり見やすい作品でした。古臭さを感じさせるものの、物事における本質をしっかりと捉えているので、見ていて飽きないのです。
それでいて、心が温かくなれる作品でした。
色々な「純粋さ」を詰め込んで作られた当作品が、僕の今後の人生に大きく関わるかどうかは分からないのですが、それでも僕の中にある何かをほんの少しだけ動かしてくれたことは、確かだと思います。
スタンドバイミーは見て損しないのか?
一気に見るのは結構しんどいのかもしれません。何しろ結構長い時間放映されていた映画です。
このご時世、椅子の前に座って一つの映画を見続けるにはあまりにも時間がないような気がします。皆、身の回りのことで忙しいのです。
ただ、少しずつでも良いので、話を進めていってもらうという視聴法でも十分に楽しめるのではないかと思います。
ちょっと見離したとしても、再び見た人間が混乱せずに復帰できるような「造り」になっています。ですから、スキマ時間でも空いたときに見てもらえれば良いとも思います。
社会の荒波にもまれて、シンドイ思いをしているのなら癒されてみよう。
内容は心が休まるような、ハートフルなものではないかもしれませんが、なぜか癒される要素を持っています。そういったこともあるので、大人になって生き方が雑になった人は進んでみてもらえれば良いのかなと思います。
心のビタミン剤としてこの作品は機能してくれるはずです。
最後に
大人になることについて考えさせられました。
学校の道徳なんかでは、
大人って、どうなれば大人なの?
という議題は結構交わされると思います。これを読んでいる人もそういった授業をしたことがある人もいるのかもしれません。
ただ、それについて、万人が納得できるような意見を出せる人ってあまりいないと思います。
僕自身もそういった答えを持ち合わせていません。ただ、この作品を見て一つ思ったことは、
大人になるということは、子供に戻りたいと思った時なのではないか
、と考えたりもしました。答えとしてはズルいのかもしれませんが、純粋によぎった考え方です。
まあ、そういった一人間にそれなりの感銘を与えたスタンドバイミーですが、気になる人はぜひ手に取ってみてください。ちょっとした哲学的な内容もあるので、見終わった後は自分なりに新しい見方が生まれているのかもしれません。
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