鋼の錬金術師という漫画は、間違いなく歴史に残る名作だと思っています。
この作品のおかげで、コミックガンガンという雑誌が持っていたともいわれている位ぐらいには、とんでもなくすごい作品です。
累計売上は27巻終了時点で5000万部と言われています。
しかしながら、漫画だけでなくアニメーションの方もかなりの人気を誇っているのでした。
作品内容だけでなく、主題歌もアジカンやラルク、YUIが歌ったり、製作に対してかなりお金がかかっている作品だと言えます。
この作品のすごいところは、作り込まれた世界観と徹底的に掘り下げられた設定にあると思っています。また逐一のぞかせる哲学的な部分は、多くの人間の心に刻まれているのではないでしょうか。
鋼の錬金術師が好きな人は多いと思いますが、僕自身もそんな一人です。
今回は僕が思っている鋼の錬金術師のすごい所や名シーンについてレビューしていこうと思っています。
鋼の錬金術師とか言う、クッソ面白い名作
鋼の錬金術師ほど、完成された作品はないというのが、ブログ主が思っていることです。
伏線のちりばめ方から、キャラクターの価値観。それから、錬金術という非現実的な話から繰り出される、現実的な展開。こういった少年誌って最終的には理想的な最終回を迎えることが多いのだと思います。
しかし、この作品は主人公たちが大事なものを失うという最期を迎えます。主人公が今まで培ってきたことが全て、無かったことになる。それでも、主人公たちは前を向いて生きていく。
自分が良い時っていうのは、誰でも前向きになれます。ブログ主もそうです。
しかし人間が本当に前向きにならないといけないのは、本当に大事なものを失った時なんだな、と思います。そして、鋼の錬金術師はそういった
人間の根本的な強さ
について、深く掘り下げたのです。そういった作品だからこそ、勇気をもらうことが出来るのです。
これはバトル漫画の皮を被った哲学書であると言えます。
この作品を語る上で、外せないこと。
この作品を語る上で外せないこと。それは
等価交換
これになるでしょう。
何かを手に入れるためには、それに見合った代償を支払わなくてはならない。
これは、この作品だけでなく。現実的な話をしても同じことになると思います。
今現在、世の中に普及しているものを一つ上げましょう。
それはスマートフォンではないでしょうか。
このスマートフォンってみんなが知っているとおり、すごく便利なものなのです。いつどこにいても、連絡を取ることが出来るし、そこら辺のデスクトップパソコン並みに高度な遊びが出来ます。
人間の娯楽はこれ一つで完結できると言えます。そう考えれば、これも一つの錬金術と言えるのかもしれません。
多分100年前の人間にスマホを見せると、とんでもない魔法を使っているように見えるはずで、そう考えれば、現代は誰でも錬金術が使えます。遊びをするのに外に出る必要もないし、場所だってとりません。
しかし、便利すぎるが故に起こる問題は大きく、
人類はスマートフォンを手に入れ、扱うにはあまり幼すぎた
と嘆く人間もいるぐらいです。
何かを手に入れた時、人はなにかを失うのだ。
何かしらの恩恵を受ける、その陰にはそれと同じくらいのデメリットもあるのです。それを理解しないことには人間は上手く生きていくことが出来ないのだと思います。
鋼の錬金術師もそういったことについて、掘り下げた作品なのではないかと思います。
力を求めすぎた結果。見えなくなるものがありますし、名声を求めた結果、失うことがあります。作中にはそういったキャラクターがたくさん出てきます。
他でもなく主人公のエドは人間をよみがえらそうとした結果。あまりにも大きな代償を負ってしまいます。
ある程度読んでいると、
これは「人間」を書いた作品なんだ
ということが読み取れます。
作品の概略。
主人公のエドワードエルリックは天才的な錬金術師です。
この作品を語る上で錬金術は外せない話題でしょう。現実世界でも錬金術はありました。いろいろな物質を混ぜて、「金」を作り出してしまおう。
これが、錬金術です。
今ではそれは出来ない。と言われています。
しかし、この作品はそれが出来るとされています。
この作品における錬金術師は国家資格と呼ばれ、その資格を持っているだけで破格の待遇を受けることが出来ます。
現実世界で言えば、ノーベル賞学者の上位互換的な存在になるのだと思います。
錬金術は万物の方程式を組み替えることで、あらゆるものを生み出していく力を持っています。炎を生み出したり、爆発を起こしたり。人によって素質は異なりますが、使いどころを間違えば、兵器にもなります。
主人公のエドは鋼を錬成して槍や盾などを錬成するからこそ、
鋼の錬金術師
という通り名がつけられました。
鋼の錬金術師の名シーンは、最終回。
個人的に一番鳥肌が立ったシーンがありまして、それは最終回です。
それも、アニメの最終回が個人的にかなり好きでして、新しい方のフルメタルアルケミストになります。
最終的にエドワードエルリックが対峙する相手は、すべてを持った最強の怪物
「お父様」
になります。このお父様は世の中のすべてを知ることによって、神様になろうとしていました。その昔は国ごと錬成し、国中の人間を賢者の石に変えてしまおうと企てています。
とんでもない悪であり、欲望や支配欲にまみれた、人間の罪を一身に背負っているキャラクターになります。
ただ、こいつが言っていることもなんとなく理解できたりします。
「私は、知りたかった。何物にも縛られず、自由になりたかった」
「欲して何が悪い。望んで何が悪い。願い求めて何が悪い」
確かにしでかしたことは、世界を揺るがすようなとんでもないこと。でも、一人間として
自由になりたい
という気持ちはなんとなくわかります。
これを読んでいる人も何かしらの欲望に突き動かされたりするでしょうし、手に入らないからこそ絶望したりすることもあるのではないかと思います。
それでもブログ主は愚か、世の中にいる人はそういった自由や権力を望みながらも、不自由な中で生きていかないといけない。そういった枠組みの中で自分なりに手に入れられるモノを見つけていかなくてはなりません。
しかし、お父様は有り余る力があるために、行動に移せてしまったわけです。
全てを知り、全てを手に入れ、完璧な存在になろうとしました。
主人公とラスボスの対照的な描かれ方が、いつまでも胸に残る。
ただ、結果的に敗れることになります。全知全能で限りなく完璧に近い存在であっても、肝心なところである
自分自身が成長する
ということが、出来ていなかったためにあらゆる能力を持っていながらも、何一つ手に入れることが出来ませんでした。
その対象に、主人公のエドは人生を生きていく上で最強の切り札ともいえる錬金術の能力を失ってしまいます。しかしながら、本当に大切な物を手に入れて、前に進んでいく。
等価交換
これをテーマに描かれた作品にふさわしい、最高のラストだったのではないかと思います。
本当の強さを学べる、最高の作品でした
この作品には、強力な敵がいます。
それは賢者の石で造られた7人の人間たち、ホムンクルスです。
これらの名前にはそれぞれ、人間が持っている7つの大罪が当てられています。
- 嫉妬
- 憤怒
- 強欲
- 色欲
- 傲慢
- 怠惰
- 暴食
これらのキャラクターもそれぞれ、立っており、いちいちカッコいいと思わされるキャラクターばかりです。個人的に好きなのは、憤怒ですね。
ホムンクルスは色々な反則的能力がある中で
シンプルに強くて、賢い
(一応最強の眼がありますが、)
という部分は何というかドストライクでした。
セリフ回しもいちいちカッコよくて、男心をくすぐる大好きなキャラクターです。散り際もすごく勇ましくて、印象に残っていますね。
結論。鋼の錬金術師は、色あせない名作。
結論から言いますと、鋼の錬金術師は色あせない名作です。いつ見ても素晴らしいと思わされる作品でして、見る価値もかなりあると思います。そこから学べることもあり、いまだにこの作品で学んだ
等価交換
は僕の人生において、一つの指針になっている気がします。
時間があれば。VODや電子書籍などで集めて読んでみてはいかがでしょうか。個人的にはアニメ版のフルメタルアルケミストが面白いし、かなりの完成度だと感じます。
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